アランと一緒に四国遍路。

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7日目ー5・のりこさん
4月5日。
ホテル土佐路。



ビジネスホテル土佐路のフロントへ行くとフロントマン、
「お待ちしてました、お疲れさまでした。」
爽やかな笑顔と明るい声で迎えてくれた。

丸米旅館で貰ってきたパンフを渡した。
「料金から100円値引きさせていただきます。食事はどうなさいますか?」

食事。。。朝は早くに出発予定だから朝食抜き。
夕食はどうしょうか。。。

徳島のホテルに泊まったときの夕食を思い出す。
ホテルの広いダイニングルームで一人っきりの食事は会席料理。
一品づつ時間を置いて運ばれてくる料理。
こっちはお腹が空いてるのに、次の料理が出てくるのを黒服のボーイさん、ウェイトレスさんがあちこちで立っている中、4人掛けのテーブルで一人、お茶を飲みながら待っていた。

会席料理やホテルの食事、誰かと一緒なら楽しいだろうけど女一人での会席料理はさまにもならない。
そんな目に会いたくないと夕食は断ったが、
食事、単品でも注文できますか?
予約なしでも大丈夫ですか?

「一応、夕食、朝食は予約ですが直接2Fの○○に行って頂ければ食事はできます。
料金はそちらでお支払いしてください。」
会席料理は困るけど、直接行って注文出来そうと聞いて安心した。

ホテル土佐路。
料金、宿泊のみ。¥4,800-。


支払いを済ませると、年長の男の人がこちらでお茶でもとロビーのイスを薦めてくれた。
テーブルの上にお茶とお菓子。
年長の人、支配人さん?

「竹林寺は明日ですか?」
はい、早くに出発したいのですが6時頃でもいいですか?

「24時間営業ですから何時でもフロントは開いております。」
支配人さんからホテル土佐路付近と31番竹林寺の道順がイラストと一緒いに書かれてある地図を戴いた。
その地図をテーブルに広げホテル前からの道順を丁寧に説明してくれた。
遍路協会さんの地図より、うんとわかり易く、見易い。
これならどんな方向音痴でも迷子になることはないだろう。

ホテルの前を少し行くとローソンがある。
明日は早めに出発、おにぎりを買って行こう。

支配人さんとフロントマンさんにお礼を言い、鍵を貰い4Fの部屋へ。

お風呂にお湯を張りベッドに寝転んだ。
携帯とカメラの電池の充電。
本家に連絡。
お風呂に入り髪を洗い7時頃まで横になっていた。

7時になってGパンとパーカーに着替え、ショルダーにお財布携帯を入れ2Fへ行った。
ドアを開けると中央に大きなテーブル。
右の方に6人連れの男のグループ。隣に男の人一人。
左の方は女性3人。

壁側に4人掛けのテーブルが3つ。
みんな塞がっている。
どこに座ればいいの?

すみません。一人なんですが。。

忙しそうにお皿を運んでる女の人に声を掛けた。
「予約の方ですか?」
予約はしてません。
「予約の分しか料理はないんですが。」
はぁー?

「あれれ、予約してなかったの?」
入り口を背に座っていた女性の一人が振り向いた。
あ~!東京Ⅱさん!!
「ここ空いてるよ。」
東京Ⅱさんの向かいのイスが一つ空いている。
テーブルを回って東京Ⅱさんの向い、空いてたイスに座る。

一人でホテルで食べるのって嫌だったから予約はしなかったんですよ。
でも、直接来ても注文できるってホテルの人が言ってたし。。

お店はお客さんで満杯。
厨房の中にいるコックさんは一人。
出来た料理を運んでるの女の人も一人。
カウンター越しに言い争いの声が聞こえてくる。
ご夫婦なのかな。
イライラした顔つきのまま、お客さんのテーブルに料理を運んでいる。
いらっしゃいませも注文も、取りにも来てくれない。

ようやく一段落ついた様子の女の人に東京Ⅱさんがお願いします!と声を掛けてくれた。
ニコリともせず、
「注文と言っても、予約の分しか材料はないんですよ。」

夕食の予約はコースになっていた。
出来るので食事を戴けますか?
食べ終えたテーブルのお皿を片付けながら、
「ご飯とスープと鴨のステーキだけです。」
これならローソンで何か買って部屋で食べたらよかった。。。
鴨のステーキなんて要らない。
運ばれてきた鴨のステーキとサラダとご飯とスープ。

「ね、ビール飲まない?」
飲みましょうか。
すっかり食欲も失せてビールを頼んだ。
酒類だけは予約なしでもOKなんだろう。

東京Ⅱさん、食事を終えて日本酒を飲んでいた。
入り口から見たとき、女性3人連れと思ったが二人と東京Ⅱさん一人で隣同士になっただけ。

何時頃着いたんですか?
「5時頃かな。あなたは?」
私は3時半頃です。
「早かったのね。丸米旅館を出たのが9時過ぎていたの。もう誰もいなかったわよ。」
朝出発のとき、みんな先に出たのかと思ってたけど東京Ⅱさんは未だだったんですね。
「昨日の人、東京の彼女、近くの駅から帰るって時刻表見ていたわよ。」
東京さん、帰ったんですね。体調は良くなったのかな。

「ね、ここ騒々しいし食べないなら部屋でおしゃべりしない?」
そうしましょう!
「私の部屋へ来る?あなたの部屋?」
私は4階の○○です。
「私は5階、じゃ後であなたの部屋へ行ってもいい?」
どーぞどーぞ。
「直ぐ行くから待っててね~。」
先に東京Ⅱさんがお店を出た。

ご飯少しとサラダ、スープと手も着けてない鴨のステーキ、それとビールの支払い。
なんと、¥2,300-!
へっ!?。。。
一瞬思ったけど、予約をしてなかった私が悪い。
食べた分がわずかでも料金は料金。

ここのお店はホテル直営ではなくテナントさんなのだろう。
親切な支配人さんやフロントマンさんと雰囲気が全々違う。

部屋へ戻り、東京Ⅱさんを待ってるとしばらくしてコンコンとノック。
「お邪魔します~、これはお土産。」
東京Ⅱさん、袋からパンやお菓子と一緒に缶ビールを出した。
わざわざ部屋へ食べ物を取りに行ってくれたんだ。
それにビールまで買って来てくれて。。

「お札、交換しましょう。私はこういうものです。」
住所と名前が書かれたお札を戴いた。
私も遍路カバンからお札を出して住所名前を書き込む。

お札の他にメモ紙に電話番号を書いてくれた。
さっそく携帯に登録。
「奇跡の人はharuさんって言うのね。のりこです。よろしくね。」
ビールで乾杯、自己紹介。

笑いながらのりこさんが言った。
「食事の店、酷かったね。予約の分しか仕入れはしてないんだね。
普通のビジネスホテルでも店が入っていたら何か気の効いた食事は出来るよ。
ね、お腹空いてない?これ食べてよ。いろいろお接待で戴いたの。
私って宿では食事抜きの方が多かったのよ。
外で食べたりコンビニで買ったりしてたのに昨日、今日と珍しく夕食付きでお願いしてるの。
なんとなく私の直感、当たるのよ。ここで夕食予約してなければharuさんに会えなかった。
会いたいって願っていると思いが通じるのね。
私のほうが奇跡の人かな~。」

ホントに酷かったですね。
ご飯とスープとサラダとそっくり残した鴨のステーキにビール一杯。。。。
済んだことを言っても仕方がないですよね。
それより、直感とか願いとか私は信じます!
面白くない話や悪口よりも、楽しい話のほうがいいに決まってる。

丸米旅館から出発して何時頃何番に着いたとか足が痛くて仕方なかったとか12時近くまでおしゃべりをしていた。

のりこさんのお仕事、登校拒否になっている子供や自閉症の子供たちのお世話。
そのお仕事の他にボランティアで週3回、体や知能に障害のある子供たちのお世話をしている。
そればかりじゃなく朗読のお勉強。
まとまった休みが取れるとエベレストやネパールの山へ行ったり。
聞いてるだけで超多忙な生活。
よくこれだけ忙しい人がお遍路にと聞いてて驚き。

今回は休みを使って、四国遍路の通し打ち。
のりこさんの歩き方は慣れているけど、どんなに早くても50日は掛かりますよ。お仕事は大丈夫ですか?
仕事のことで気になることがあるので、一旦東京に帰らなくてはいけないかもしれない。
連絡を取っているから何とかなるといいのだけど、と言っていた。

「足の小指の爪が剥がれそうになってて痛くて歩くのも大変だったよ。
5時頃着いて、ホテルに自転車があったから貸してもらって町を見学。靴屋を探してこれを買ってきたんだよ。」
笑いながら履いてたサンダル(?)を見せた。
「軽くて足は全々痛くない!これなら山登りも平気だよ。」
のりこさん

え~!このサンダル靴で山を登るって言うんですかぁ!
のけぞってしまった。

靴下を脱いで足を見せてくれた。
ぎゃー。。小指の辺りがグシャグシャになってる。
親指にもマメがつぶれてる。
「何度もマメを破いているから、ここは痛くないけど小指がね。。。」
この足じゃ、歩くのも痛かっただろう。

ビックリしている私にケラケラ笑いながら、
「見た感じは酷そうだけど歩き出せばそんなに痛くないの。30分歩いたら休んでいたけどね。」言っていた。


その後、のりこさんが語ってくれた重い障害のある子供の話。
表情のない、その子供がのりこさんの声を聞くと、きゃきゃと声を出して笑ってくれる。
何度も何度も同じ童話の話をせがみ、”大好きなお母さんが”のところにくると、きゃきゃと決まって声を出して笑うと。

目が見えず足が不自由な子供だけど、のりこさんの声が聞こえるとイザリながら這って抱っこをせがんだり。
子供が笑ってくれると私も嬉しい。
のりこさんはその子を思い出したように、とても嬉しそうに言っていた。

私は、持ってきたアランやモアくん、バディ君、イブちゃん、こた君の写真をのりこさんに見せた。
アランとの別離。
別れたときの悲しみ、胸が張り裂けそうな辛さ。戻ってはこない日々。後悔の連続。どれほど泣いても忘れることの出来ない悲しみ。苦しさ。
泣きながらのりこさんに話していた。
先まで笑っていたのりこさんが目にいっぱい涙を浮かべ、私の手を握ってくれた。
「大丈夫よ。もう大丈夫だから。アランちゃん、ありがとうって言ってるよ。いつだってharuさんの側にいるから。」
アランに会いたい。
もう一度抱きしめたい。あの子に会いたいよ。。。

「いつか会えるよ。きっと会えるよ。haruさんもアランちゃんも幸せだったね。二人が巡り会えて本当に幸せだったね。一緒に暮らせて幸せだったね。
誰にも愛されない、生まれてこなければ良かったと言われる子供もいるんだよ。言う親も辛い。言われる子供はもっと辛い。
どんなに手を差し伸べても拒み、心を開かない。暗い闇の中で誰のことも信じられず一人でいる子供がいるの。
アランちゃんやお友達の犬たち、こんなにも愛されて本当に幸せだったね。」
涙がボロボロ流れた。
抑えていたアランの思い。
もういつまでも引きずっててはいけないと自分に言い聞かせ、封じ込めていた思いが一気に溢れ出していた。
こんなにも優しくアランの話を聞いてくれた。
のりこさんの美しく優しい声がいつまでも心に響いていた。

のりこさんの明日の出発時間を聞くと、
「多分10時頃になるんじゃない~?」
笑いながら言ってくれた。
泣き笑い顔のまま、
私は午後から遅くなるから早くに出発します。
足、気をつけてくださいね。電話入れます。

「私も電話するね。それじゃ遅くまでお邪魔しました。おやすみなさい。」

こちらこそご馳走様でした。
おやすみなさい。
2階の感じの悪い食事店のことはすっかり頭から消えていた。






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